前回、失業給付を受給する期間は社会保険の扶養には入れないと説明しました。年間の収入は失業給付を加えても130万円未満です。何故なのでしょうか。

基本手当日額

雇用保険の失業給付は「被保険者期間」と「年齢」により、失業給付の受給日数が決まります。

また、「離職前6カ月の賃金平均」と「年齢」により、基本手当日額が決まります。

そして、この基本手当日額が、3.612円以上の場合、社会保険の扶養に入れません。この金額の根拠を次の通りです。

扶養の基準となる130万円を1年(360日)で割った金額=3.611円となります。(1年を360日として計算します)

∴ 3.612円以上の場合は扶養には入れません!

年間見込み額で判断

基本手当日額が3.612円の場合は、社会保険の扶養に入れません。仮に、3.612円を90日受給しても325.080円にしかなりません。

この金額に、退職までの収入を加えても130万円未満の場合、何故扶養に入れないのでしょうか?

それは90日受給の場合でも、「1年受給した場合はいくらになるのか」と言う様な見込み額で判断するからです。

つまり、3.612円を1年受給した場合は130万円以上となります。

社会保険の場合はこのように判断するようです。

給付制限期間

自己都合による退職の場合、3カ月の給付制限があります。この期間の扱いはどうなるのか。

給付制限の3か月間は社会保険の扶養に入ることができます。

そのため、退職したらまず社会保険の扶養の手続きをします。失業給付を受給の受給が始まったら、扶養を外し国民健康保険に加入の手続きをします。

その後、失業給付を受給が終わった国民健康保険の資格喪失手続きをして、再度社会保険の扶養の手続きをします。

 

尚、手続きが面倒な方は、退職後国民健康保険に加入し、失業給付の受給終了後に社会保険の扶養の手続きをすると良いと思います。

 

社会保険労務士 杉山 正弘(埼玉県川越支部)